よちよちギタリストのための音楽理論入門 #3 調性と音階
調性とは
調性(キー)は、大きく分けて「長調(メジャーキー・Major Key)」と「短調(マイナーキー・minor Key)」があり、前者は明るい曲調を、後者は暗めの曲調を決定づけます。
それぞれ違う特徴の音階を持ち、特定の中心音(主音)とその周囲の音との関係性によって形成されます。
メジャーキーで演奏されている明るい曲のサンプル
マイナーキーで演奏されている曲のサンプル
主音 (Tonic)とは
主音(しゅおん・Tonic)とは、音階や調性の基盤となる中心の音です。音階の始まりとなる音で、例えば音階の名前の元となる音でもあります。例えば、Cメジャーキーの音階の主音はCであり、Aマイナーキーの音階の主音はAです。
主音の他にも、知っておいて損しない以下に示す音の種類・分類も少しだけ触れておきましょう。
- 属音 (ドミナント・Dominant)
- 下属音 (サブドミナント・Subdominant)
- 導音 (Leading Tone)
途中、長音階(メジャースケール)や短音階(マイナースケール)といったキーワードが出てきていますが、後で説明するので現時点では気にしないでもいいです。後で読み返せば意味がより鮮明にわかります。今は「ふーんこんなもんね」くらいの理解度で問題ないです。
属音 (Dominant)
属音(ぞくおん・ドミナント)は、音階や調性における重要な音の一つであり、主音に対して5度上の音です。属音はしばしばドミナント音(Dominant)とも呼ばれ、主音に向かう強い引力を持っています。属音は楽曲の緊張感を高め、解決を期待させる役割を果たします。
属音の例
- C 長音階(C Major Scale):Cが主音であり、Gが属音です。GはCの完全5度上の音です。
- A 短音階(A minor Scale):Aが主音であり、Eが属音です。EはAの完全5度上の音です。
下属音
下属音(かぞくおん)は、音階や調性における重要な音の一つであり、主音に対して4度上、または5度下の音です。下属音はしばしばサブドミナント音(Subdominant)とも呼ばれ、楽曲に属音ほどではない「やや不安定」感を与え、ドミナント(属音)や主音に向かうステップとしても機能します。
下属音の例
- C 長音階(C Major Scale):Cが主音であり、Fが下属音です。FはCの完全4度上の音です。
- A 短音階(A minor Scale):Aが主音であり、Dが下属音です。DはAの完全4度上の音です。
導音 (Leading Tone)
導音(どうおん)は、音階において主音の半音下の音であり、主音に強い引力を持つ音です。導音はしばしば「リーディング・トーン」(Leading Tone)とも呼ばれ、その名称の通り、主音へ導く役割を果たします。導音は特にメジャー音階や和声的マイナー音階で重要な役割を果たします。
導音の例
- C 長音階(C Major Scale):Cが主音であり、Bが導音です。BはCの半音下の音です。
- A 和声的短音階(A Harmonic minor Scale):Aが主音であり、G#が導音です。G#はAの半音下の音です。
長音階 (Major Scale)
長音階(ちょうおんかい・Major Scale)は、明るい響きの特徴を持ち、いわゆるみんなが知っている「ドレミファソラシド」です。
上記の画像は キーを C とした長音階である C メジャースケール (Cの長音階) です。
では、長音階について掘り下げていきましょう。
長音階 (Major Scale) の音の並びと音程
全音 - 全音 - 半音 - 全音 - 全音 - 全音 - 半音 といった並びの特徴を持ち、以下の音程で構成されています。
- 完全一度 (Root) - P1st - 主音
- 長二度 - M2nd
- 長三度 - M3rd
- 完全四度 (Sub Dominant Tone) - P4th - 下属音
- 完全五度 (Dominant Tone) - P5th - 属音
- 長六度 - M6th
- 長七度 (Leading Tone) - M7th - 導音
長音階の最大の特徴は、完全音程と長音程のみで構成されていることです。
全音 - 全音 - 半音 - 全音 - 全音 - 全音 - 半音 は暗記必須です!
短音階 (minor Scale)
短音階(たんおんかい・minor Scale)は、暗い響きの特徴を持ちます。ドレミより馴染みがないかもしれないのでどんな響きの音階かの動画を貼っておきますね。
ちなみに、上記の画像は キーを C マイナー(Key of C minor) で、音階としては C マイナースケール (Cの短音階) です。
では、短音階について掘り下げていきましょう。
短音階 (minor Scale) の音の並びと音程
全音 - 半音 - 全音 - 全音 - 半音 - 全音 - 全音 といった並びの特徴を持ち、以下の音程で構成されています。
- 完全一度 (Root) - P1st - 主音
- 長二度 - M2nd
- 短三度 - m3rd
- 完全四度 (Sub Dominant Tone) - P4th - 下属音
- 完全五度 (Dominant Tone) - P5th - 属音
- 短六度 - m6th
- 短七度 - m7th
この短音階は、自然的短音階 (Natural minor Scale) とも呼ばれ、長音階 (Major Scale) の6番目の音から並び替えても同じ音程の並びを得ることができます。
例えば、Cメジャーキーとしての ドレミファソラシド ならばラ(A)の音から並べ替えれば A minor Scale になります。
全音 - 半音 - 全音 - 全音 - 半音 - 全音 - 全音 は暗記必須です!
調号 (Key Signature)
調号(ちょうごう、Key Signature)とは、楽譜の冒頭に記されるシャープ(#)やフラット(♭)の記号で、楽曲がどの調性(キー)に基づいているかを示すものです。
C minor の例でも ♭ が3つついていましたね。
調号は楽譜の各段の冒頭に書かれ、その調に含まれる全ての音に対して適用されます。
メジャーキー (Key of Major) で#がつく調号
便宜上一枚の楽譜で表現してしまいましたが、楽曲としての楽譜ではないのでご注意ください。
#が ファ ド ソ レ ラ ミ シ の順で付与されて行っています。また、上記画像の例では楽譜上の一番最初の音がその音階のキーの中心音であり、音階の始まりの音でもあります。
例えば、上から2段目なら「ソ(G)」から始まるので、Gメジャーキー・Gメジャースケールとなり、上から3段目ならば「レ(D)」から始まるので Dメジャーキー・Dメジャースケールとなります。 ちなみに ファドソレラミシ の順番は要暗記です!
メジャーキー (Key of Major) で ♭ がつく調号
♭ が シ ミ ラ レ ソ ド ファ の順で付与されて行っています。また、上記画像の例では楽譜上の一番最初の音がその音階のキーの中心音であり、音階の始まりの音でもあります。
例えば、上から2段目なら「ファ(F)」から始まるので Fメジャーキー・Fメジャースケールとなり、上から3段目ならば「シ♭(B♭)」から始まるので B♭メジャーキー・B♭メジャースケールとなります。
ちなみに シミラレソドファの順番は要暗記です!
短調(マイナーキー)との関係性について。
先ほどお伝えした「短音階 (minor Scale) の音の並びと音程」の項目で、「長音階 (Major Scale) の6番目の音から並び替えても同じ音程の並びを得ることができます。」と述べましたが、これは当然のように調号も変わらないということになります。
いくつかの例を以下に示します。
# がつくメジャーキーとマイナーキーの関係の例
♭ がつくメジャーキーとマイナーキーの関係の例
それぞれ上段が メジャーキー / メジャースケール で、下段が マイナーキー / マイナースケール になります。
この、調号が同一でありながら、メジャーキーとマイナーキーの関係が成立するキーを「平行調」と呼びます。
もう一度説明しますが、メジャーキーの6度目の音が平行調のマイナーキーの主音となり、逆にマイナーキーの3度目の音が平行調のメジャーキーの主音となります。
調号と調性と音階の関係性
この記事で学んできたことをざっとまとめます。
まず調性について
- 調性には長調(メジャーキー)と短調(マイナーキー)がある
- メジャーキーは明るく、マイナーキーは暗い
- それぞれのキーには、主音や属音、下属音などの主要な音が共通してある
- メジャーキーには導音がある(マイナーキーでも導音の概念を登場させることができるが後述)
長音階と短音階
- 長音階は、主音(Tonic) から 全音 - 全音 - 半音 - 全音 - 全音 - 全音 - 半音 の並びをもつ
- 短音階は、主音(Tonic) から 全音 - 半音 - 全音 - 全音 - 半音 - 全音 - 全音 の並びをもつ
調号について
- 調号(ちょうごう、Key Signature)とは、楽譜の冒頭に記されるシャープ(#)やフラット(♭)の記号で、楽曲がどの調性(キー)に基づいているかを示すものです
- 調号が同一でありながら、メジャーキーとマイナーキーの関係が成立するキーを「平行調」と呼ぶ
- メジャーキーの6度目の音が平行調のマイナーキーの主音となり、逆にマイナーキーの3度目の音が平行調のメジャーキーの主音となる
まとめ
今回は、調性、調号、長音階、短音階などに触れてきました。
暗記が必要な項目もあるのでちょっと複雑に思えるかもしれませんが、じっくり向き合って覚えてしまいましょう!